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禅・大乗仏教での「悟り」とは何か

禅・大乗仏教では、いわゆる「自分(こころ、ゴースト)」という塊(かたまり)が体の中には存在しないことに気づくことを「さとり」と定義している。

赤ん坊のころから、家族や親類に顔をのぞかれ、名前を呼ばれ、ほっぺたを優しくつっつかれるうちに、この目の奥にあるものや耳の内側にあるものは「自分(わたし)」なのだなと思ってきた。

大人になっても、他人の視線は私を見るとき、私の体を見ている。

だから、この体の内側に体の線をかたどるように、「自分」という何か得体のしれないものがあるのだと信じきってきたのだ。

しかし、「午後からも仕事か」と嫌気がさしたり、明日の用意をせっせとしたり、将来の自分を想像して不安になったりする心の主体(自分)とは、脳が創出した「自我(実行者)」ではないようだ。

「五感」や「考え」はこの体に備わった機能だけれども、それは決して自分ではない。

「自分」とは、脳が創出した「自我」ではなく、「決して知ることができない何か」である。

「仕事をしよう」とする自分と、それとほぼ同時に「仕事をしない理由を考えだそうとする自分」もいる。

汚いとか、キレイだとかの判断は、人が置かれた状況によってころころと変わる。

生きるか死ぬかの状況に置かれたら、どんなにキレイ好きな人でも、地面に落ちている食べ物を食べようと必死になるのである。

人は、「仕事しなきゃ」とか「仕事しなさい」と言われると、仕事を始めたい気持ちがなえるものだ。
逆に「仕事したくないのは疲れてるからだよ。したくなったらすればいい。」と言われると、仕事したくなるのだ。

人は、「ストレス」には反発し、「優しさ」には肩の力が抜け自分本来の姿が目覚めるのである。
他人から言われるだけでなく、自分で自分に言ってもいい。

ここでは、主語を「人」として書いてきたが、実は、人以外の動植物はもちろん、無機物である金属やプラスチックで形作られた「モノ」や地球などの惑星も「自分、こころ、ゴースト」を持っているのである。

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