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人は小中学校の9年間でこの社会の一員として機能するように暗示をかけられる

小学校、中学校の9年間で、競争心を持って他人と競争することを良しとすることを教えられてきた。

教師から褒められ、クラスメートから賞賛されることで、人と競争することは良いことなのだと実感していくのである。

比較競争

努力向上心

予習復習

秩序整理

こんなことを教師から毎日求められていた。

そして、勝者に嫉妬心を持ち、「ぼくもそうなりたい。」と心に誓う。

1年生、2年生と学年が進んでいくと、自分もそうなれると思ってきたが、自分には無理そうだと向上心がなえてくる。

中学1年生の時、進路相談の面談のときに担任の教師から、同じくらいの成績のクラスメートがいるから、お前にその生徒の成績を見せるから、お前の成績もその生徒に見せていいかと問われたことがあった。

私は「いやだ」と答えた。

「そうか」と教師は引きつった顔をした。

後日、その生徒から、「先生にお前の成績を見せてもらったよ」と言われた。

その生徒より体力で劣っていた私は、学力では優れていると思われたかったのだと思う。

羨(うらやむ)対象の他人は心を開くべきではない「敵」と捉えた。

心を開く相手(友達)は、体力やその他能力が私と同じくらいの人を求め、心理的な安心感を得ようとしていた。

人は、この9年間で、「この社会の一員として機能するように暗示をかけられる」と言える。

いわゆる「自我」を持たざるを得なくなるのである。

禅・大乗仏教では、「自我」は空想であり、悪癖であるので、取り除くべきものであると主張している。

小学校2年生頃までの私は、「自我」というものを持っていなかったということを最近思い出した。

他人に対して敵対心を持っていず、周囲のみんなで助け合い仲良く暮らすことが人生なのだと思っていた。

ある時、小学校からの下校途中で、いじめっ子に道を通せんぼされたことがあった。

私は、それじゃあと、自宅に帰る道をそれて、親戚のおばさんの家に行った。

いじめっ子は「どこいくの」と逆に心配していた。

となりの席の女子とも、なんの外連味(けれんみ)もなく授業と授業の間にお喋りしていた。

小学校5年生のころから女子を意識するようになり、男子は暴力的な生徒が増えてきた。

この社会は助け合って仲良く暮らすものではなく、人をだましたり、蹴落としたりして有利な立場を獲得するものなのだということを知るようになる。(10歳)

そして、人から騙されないために知識をつけ、人に蹴落とされないために体力や技能をつけるようになる。

私は、そのために法律を学び、コンピュータを学んできた。

そして、現在に至る。

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