大悪手の3九角成が指されたわけ - 棋王戦豊島八段対藤井四段
藤井四段 豊島八段 棋王戦
先手豊島八段の2八飛に後手藤井四段は持ち時間に31分を残していた。
11分考えて大悪手の3九角成を指してしまった。
豊島に千日手にされ、藤井さんは午後から1時間のハンディキャップで戦わざるを得なくなった。
50手め4七銀打ちの好手から藤井さんに差しやすい手が多くある状況。
56手め、6七角うちからの銀桂二枚替えの手順もあったが、ここで藤井さんは41分にわたる2度目の長考のすえに4八に金取りの角を打った。
この手は攻めの手ではなく、2六に角を打たせ2筋の飛の効きを止めるための守りの一手だった。
一手前に豊島が指した2五ふを逆手に取った手だった。
その後、3五ふで先手の角の動きも止め明らかに後手が指しやすい局面を作った。
藤井四段が万全の布陣を築いたと思えた。
そのあとの指し手を見ても、じっくりと攻めようとする藤井さんの気持ちが伝わってきた。
61手め、豊島が2八飛と角取りにいき、ここでは将棋を好きな人なら誰が考えても5九銀成らずと角をただで取らせまいとするだろう。
しかし、藤井さんは11分の小考ののち3九角成とただで銀を取られる手を「あえて」指した。
7 6 5 4 3 2 1
| | | | |金| | |七
| |銀|銀|角| |飛| |八
|玉| | | | | |香|九
先手の7八銀うち後の手に残り20分のうちの8分を割いていることから考えると、藤井さんは先手が7二銀など攻めに使いでのある持ち駒の銀を守りに使う手である「7八銀うち」を考慮していなかったのだと思う。
後手66手め、8五ふ打ちからの8五桂も冴えない手で、藤井さんが指してきたこれまでの数十局で見せてくれた藤井さんらしい手ではなかった。
手持ちのふを温存し、桂を切って飛を8五に出る筋がどうだったのだろうと思う。
9 8 7 6 5
| | |桂|銀|歩|三
|歩| |歩| | |四
| |歩| | | |五
|歩|歩|歩|歩| |六
| |金| | |歩|七
持ち時間もほぼないためもあるが、その後の指してが急に誰でも指しそうな安易な指し手に変貌してしまう。
この日、藤井さんは今まで千円以内に収めていた自分の中での食事代の約束事をやぶり、千円を超える和牛の弁当を頼んだ。
その新聞記事を見たときは、「今日は藤井さん気合が入ってるな」と思ったものの、今思うと夏バテしているのを感じて精のつく牛肉弁当を頼んだのだと思う。
87手の短手数、藤井さんが終盤まで指さずに途中で投げた試合を初めてみた。
この対局は主催者である共同通信社のなんらかの影響により放送がなく(これまでの棋王戦はすべて放送されていない)、藤井さんがどのように指していたのか全くわからないのだが、対局数・勝ち数・勝率で他の棋士の倍以上の圧倒的三冠王の藤井さんがこの猛暑の中、2日前に二局指しての当日の対局でもあり、中学生の藤井聡太さんの体調が極めて心配である。
棋士は個人事業主であるから、将棋連盟としては個別の棋士に任せるということでは、棋士の健康面を含めた福利厚生に責任を持つべき主催団体として責任を放棄していると言わざるを得ない。
夏の疲れが出る初秋に藤井さんが長期休養を取らざるを得ないような状況になるのではないかと非常に心配である。
\*ここでいう「放送」とは放送法上の放送ではなく「ブロードキャスト」という意味で用いている。
\*棋譜は将棋連盟ライブ中継アプリより引用
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