2017年の新年を迎えるにあたっての所感 - コンピュータによる支配やシンギュラリティはすでにあるものである
駅の改札を抜けプラットホームに出ようと、いつものようにパスモを白く光るPマークの上にタッチしたらサウンドが鳴動しシャッターが閉まり物理的に行く手を塞がれた。
改札口には駅員が一人いるがぼぉっと空を見つめているだけで何も操作らしきことはしていない。
パスモには極小なコンピュータが封入されている。
そのコンピュータはFelicaと呼ばれる国内規格で、駅に設置されている改札口などと呼ばれるコンピュータから無線を受信することで電気エネルギーを得て動作し始める。
パスモが記憶する暗号化された識別番号が改札口と呼ばれるコンピュータに無線を通して渡される。
改札口コンピュータはVPNと呼ばれる廉価で閉域網が構築できる方法で、暗号化したパケットをパスモのホストコンピュータ(中央制御コンピュータ)に送る。
ホストコンピュータは受信した識別番号からパスモ発行時の利用者情報と関連付けられた残額値を求める。
ホストコンピュータが求め改札口と呼ばれるコンピュータに返信した残額値120円があらかじめ定義された駅構内への入場料金140円を下回ったため、私はコンピュータによって行動を制限されたのである。
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このように人はすでにコンピュータによって行動を制限されるなどの支配(聴き馴染んだ言葉でいうならば制御)を受けている。
コンピュータによる人の支配は「SFなどの近未来に起こりうること」ではなくすでに起こったことなのだ。
映画ターミネータで描かれたような「本来人間は怠け者で働きたくもなく活動さえしたくない。ただ、衣食住と性欲などの欲求が満たされればそれで構わない生き物」だとしたら、100年もかからずに水槽の中でコンピュータに飼われる生活を選ぶ人が現実になるだろう。
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もうすぐ6年前の出来事になろうとしている震災の体験は、人はモードを持っていて、環境が変わった瞬間に人はその環境に合わせモードを変えることができるということを教えてくれた。
蛇口から水が出るのが当たり前だった私が、前日に汲んだバケツの水で手を洗ったり食器を洗ったりすることを昔からやっているようにした。
水洗トイレが使えなくなりペットボトルを半分に切ったものにおしっこをし、丈夫そうなレジ袋を選んで大便をした。
一食に食パン一枚づつを食べた。贅沢な食事をしたいとは思わなかった。
停電で暖房とコンピュータは使えなかった。
エヴァンゲリオンにビーストモードというのが描かれたが、まさしく人はそのとりまく環境や状況によって自在に心の姿形を変える機能を持っているのだということを身を以て体験させられたのだ。
その心のモードの変化が自分でも驚くぐらいあっという間に何の躊躇もなしに、行動様式や生活様式を一変させる。
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新たな年を迎えようとしている世界は、シンギュラリティというすでにあることをこれからくると預言者のように立ち振る舞うことではなく、すでに「あるもの(this is it)」をしっかりと見据えて、二択の選択を迫られようとしているのだということを心の底から自覚すべきだ。
不安も苦痛もなくコンピュータに飼われる快適さ(あるいは天国)
もしくは、
つらく苦しみもがく自由(let it be)。
大多数の人は前者を、選ぶとなく選ぶことになるだろう。
特に自分の子供には前者の生活を与えたいと思うものだ。
私は後者を選ぶ。
2017年が皆様にとって素晴らしい一年になりますように。
合資会社ウェブバナナユナイト東京横浜
代表社員
国家認定プログラマ 水口洋一
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